こんにちわ。こちらは『チョコレートをエンターテイメントにする』をテーマに、×Chocolatのakiが綴るブログです。チョコレートの面白さについて、様々な角度から発信しています。
さて、今回はチョコレートに興味のある方なら一度は聞いたことがあるであろう、テンパリングについてお話します。
まぁまぁ、そう焦らずに。このテンパリングが美味しいチョコレートを作る上での最後の重要ポイントになります。ここまでくればあと少し!
では、早速進めていきましょう!
テンパリングってそもそも何だ?
当たり前だけど、そっちじゃないね。テンパリングとは一言で言うと「チョコレートを温度調整してカカオバターの結晶型を整えてあげること」です。この結晶型が違うだけで、味や見た目が違ったものになってしまうんですね。
元は同じ物質なのに結晶の並び方が違うだけで全く違ったものになる例が、皆さんの周りにもあります。それがこちら
そう。「鉛筆の芯」と「ダイヤモンド」ですね。これらは元々は「炭素」という原子からできています。(高校化学でいうところの「同素体」ですね。)
結晶型の違いを図にするとこんな感じになります。
はい、それはこれからお話しますね。
テンパリングをする意味
テンパリングをする意味は大きく分けて4つあります。
- 口どけを良くする
- 見た目をきれいにする
- きれいに割れる
- 型から剥がしやすくする
一つずつ見ていきましょう。
口どけを良くする
カカオ豆に約55%程度含まれているカカオバターには、結晶型の違いによって融点(溶ける温度)が変わってくるという性質があります。
そして一番理想的な結晶型に整えられたカカオバターの融点は33.8℃。これって、人の体温より少し低い温度ですよね。
それに対して、きちんとテンパリングが取れていないカカオバターの融点は36.3℃。これだと口に入れてもなかなか溶けないですね。
テンパリングをすることによって、サッと溶ける口どけを楽しむことができるんですね。
見た目をきれいにする
これに関しては、一目瞭然ですね。きちんとテンパリングを取らないと「ファットブルーム」というカカオバターの粗大な結晶が浮かんでくる現象が起こります。斑点みたいで、見た目的にもあまり美味しそうじゃないですよね。
きれいに割れる
チョコレートを割る時の「パキンッ!」という音、気持ち良いですよね。このきれいに割れる状態のことを「スナップ性がある」と言います。
テンパリングができていないチョコレートは、モロモロしていて崩れるような割れかたをします。やっぱり食べる時も気持ちよく割れる方が良いですよね。
型から剥がしやすくする
きちんとテンパリングがとれたチョコレートは、固まる時の収縮率が上がります。プロのショコラティエはこのようなポリカーボネート製の型を使ってボンボンショコラを作ったりするので、きちんとテンパリングをとって型離れを良くします。
きれいに外れたボンボンショコラは艶があって宝石のようで、本当にきれいですよ!
テンパリングの基本的な理論
カカオバターの結晶型
そうですね。ではまず、正しくテンパリングが取れた時の結晶の型をみてみましょう。
そうですね。カカオバターの分子一つ一つは、アルファベットの「Y」が少し崩れたような形をしています。この分子をきっちりと整えてあげるのが、テンパリングの目的になるんですね。
ただしこのカカオバター、温度によって結晶の並び方が変わるんですね。それをまとめたのがこの図になります。
そうですね。全部覚えると大変なので、ここでは温度が低いところで不安定な結晶ができる、くらいに覚えておいてください。
温度調整で結晶型を整える
さて、ここからは具体的なテンパリングのとり方になります。簡単に言うと「溶かす→冷ます→温める」になるんですが、それぞれ温度がきっちりと決まってるんですね。それぞれの温度での結晶の状態を表すと、このようになります。
- 融解(50〜55℃前後):全ての結晶を溶かし、分子をバラバラにする。
- 冷却(27〜29℃):冷却し、不安定な結晶と安定な結晶が混ざった状態を作る。
- 昇温(31〜32℃):少しだけ温め、融点の低い不安定な結晶を溶かす。
- 凝固(18〜20℃):残った安定なⅤ型が核となり、全てが安定な結晶型になる。
こんな感じで、ショコラティエは1℃単位で温度調整をしてカカオバターの結晶を整えてるんですね。
昇温の時は特に気を遣うポイントで、安定結晶の融点である33.8℃を少しでも超えると、また最初からやり直しになります。。。
そして固まらないうちに流したり、薄く伸ばしたりしていろんな形のチョコレートを作るんですね。
テンパリングの4つのやり方
こんなに細かいテンパリングですが、やり方は4つあります。それぞれ目的は「安定な結晶を残して固める」という点で共通しています。ここでそれぞれを説明すると長くなりすぎるので、簡単に説明しますね。
水冷法
一番オーソドックス。湯煎で溶かしたチョコレートを氷水で冷やし、再度湯煎で少しだけ温める方法。チョコレートの大敵である水分が入らないように注意する必要がある。大量にする分には向かない。
フレーク法
溶かしたチョコレートに刻んだチョコレートを入れて温度を下げる方法。失敗が少ないが、出来上がるチョコレートの量が多くなりがちというデメリットも。
タブリール(大理石)法
溶かしたチョコレートを一部だけ大理石に広げて冷まし、残したチョコレートの中に戻して温度を調節していく方法。大きく広げるため異物混入に気をつける必要があるが、大量な時は便利。
電子レンジ法
安定結晶を溶かし切らないように少しづつ電子レンジで溶かしていく方法。水も大理石も使わないので一番手軽にテンパリングがとれる。温度を超えてしまった場合はフレーク法に切り替えることができる。
そうですね。それぞれの方法も特徴があって面白いんですが、ここでは長くなりすぎるのでまた後日書くことにしますね!
・ミルク、ホワイトチョコは乳脂の影響で1〜2℃温度が低くなる。
・ダークの中でも違いがあるため、それぞれに合わせて温度を変えている。
今回の温度は理論上の目安になります。これもまた別枠で!
まとめ
・テンパリングを取るためには、1℃単位での調整をする必要がある
・テンパリングには、4つの方法がある
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいチョコレート日和を。
Bon Chocolat!