ショコラティエ世界一を決める大会「ワールドチョコレートマスターズ」

こんにちわ。こちらは『チョコレートをエンターテイメントにする』をテーマに、×Chocolatのakiが綴るブログです。チョコレートの面白さについて、様々な角度から発信しています。

さて、今回はチョコレートの世界大会についてお話ししていきます。

ノワール
チョコレートに世界大会なんかあったんだね!

サッカーで言うところのワールドカップみたいなもんですね。その名も「ワールドチョコレートマスターズ」という大会です。

これを知ればチョコレートがもっと楽しくなるかもしれません。

それでは早速、進めていきましょう!

ワールドチョコレートマスターズとは

大会について

世界のパティシエ、ショコラティエが職人技を競い合い世界一を決める大会、それがワールドチョコレートマスターズです。

2015年大会までは2年に一度、2015年以降は3年に一度開催されています。各国の予選を勝ち抜いた約20名の国の代表がパリのチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」会場内で行われる決勝大会(ワールドファイナル)で優勝を目指します。

チョコレートに特化した技術、味覚、芸術性を競い合う世界で唯一の、そして最高峰のコンクールとなっています。

主催しているのは、チョコレートなどのカカオ製品の世界最大級のメーカーであるバリーカレボー社(Barry Callebaut)が、自社のチョコレートブランドである カレボー(Callebaut)、カカオバリー(Cacao Barry)、カルマ(Carma)などの枠を越え、世界規模で開催する他に類をみない大会です。

過去の日本代表と成績

2005年の第一回大会を皮切りに、これまで7回開催されてきたワールドチョコレートマスターズ。歴代日本代表と本戦順位をまとめました。

2005年

和泉 光一(Koichi Izumi):第3位

アステリスク(東京・代々木上原)
オーナーシェフ

1970年生まれ。愛媛県出身。
「成城アルプス」で修業をスタート。7年間務めた後、大阪「花とお菓子の工房フランシーズ」を経て、2000年「サロン・ド・テ・スリジェ」のシェフ・パティシエに就任。
第10回内海杯コンクール クープ・ド・フランス日本代表予選優勝
2004年クープ・ド・モンド国内予選(飴細工、アントルメ、ショコラ部門)準優勝
2005年はフランスで開催されるチョコレート・マスターズの日本代表
2006年はワールド・ペストリー・チーム・チャンピオンシップの日本代表
2009年まで「サロン・ド・テ・スリジェ 」のシェフパティシエとして勤務
2012年「ASTERISQUE」をオープン。

2007年

水野 直巳(Naomi Mizuno):優勝

洋菓子マウンテン(京都・福知山)
オーナーシェフ

1978年生まれ。京都府福知山市出身。
「お菓子の家ノア」、「レストラン パリジェンヌ」を経て2002年渡仏。
パリ「Le grenier a pain」で修業後、「Le Trianon ANGERS」でガロワイヨ氏に師事。
2004年帰国し「二葉製菓学校」講師
2005年「内海杯技術コンクール」金賞
2006年「UIPCG第7回マスタークラス世界選手権ドイツ大会」世界第4位など受賞歴多数
2009年から「洋菓子マウンテン」シェフパティシエ

2009年

平井 茂雄(Shigeo Hirai):優勝

L’AVENUE(兵庫・神戸)
オーナーシェフ

1974年兵庫県神戸市生まれ
1995年、神戸のコムシノワへ入社
2001年から2年間、フランスで修行
2003年、グランドハイアット東京へ入社
2011年、フランスのチョコレートメーカー・カカオバリーの大使に任命
2012年、神戸市内に自身のパティスリー&ショコラトリー「L`AVENUE ラヴニュー」をオープン

2011年

植崎 義明(Yoshiaki Uezaki):第2位

La Rivière de Sable(茨城・つくば)
オーナーシェフ

1975年茨城県生まれ。
水戸調理師専門学校卒業後、水戸市内のフレンチレストラン「ビストロ・マンジュ」に3年勤務。
東京・世田谷のパーラーローレルに5年勤務
2002年水戸市のパティスリーKOSAIに入社し。2004年より9年間スーシェフを務める。
2006年 ジャパン・ケーキショー東京 チョコレート工芸菓子 連合会会長賞&グランプリ
2007年 ジャパンケーキショートップオブパティシエ  チョコレート部門 優勝
2009年 クープドゥモンドパティスリー 国内予選3位
2010年 ワールドチョコレートマスターズ国内予選優勝
2011年 ワールドチョコレートマスターズ ワールドファイナル 準優勝
2018年 「La Rivière de Sable」オープン   

2013/2018年

垣本 晃宏(Akihiro Kakimoto):2013,2018年共に第4位

ASSEMBLAGES KAKIMOTO(京都・中京区)
オーナーシェフ

京都府宇治市出身。辻製菓専門学校卒業後、京都ロイヤルホテル、神戸菓子Sパトリーのス-シェフなどを経て、2016年「アッサンブラージュ・カキモト」を京都・寺町にオープン。現在は、多くの大手メーカーや有名飲食店のアドバイザーも務める。

2015年

小野林 範(Hisashi Onobayashi):第2位

Chocolaterie HISASHI(京都・東山区)
オーナーシェフ

1979年生まれ。滋賀県出身。
2004年 ジャパンケーキショー東京 チョコレート工芸菓子部門 銅賞
2007年 ジャパンケーキショー東京 チョコレート工芸菓子部門 金賞
2007年 内海杯 銅賞
2008年 ワールドチョコレートマスターズ2009国内予選 2位
2010年 ジャパンケーキショー東京 トップ・オブ・パティシエ2010(チョコレートのピエスモンテ&アントルメ部門 ) 優勝
2011年 ワールドチョコレートマスターズ2011国内予選  2位
2011年 第6回WPTC日本代表選考会 チョコレートピエス部門  優勝
2012年 WPTC2012 チームJAPAN チョコレートピエス担当として出場し優勝  
※「チョコレートピエス部門」優勝

2009年の平井シェフの優勝を最後に、日本は優勝できていないんですね。日本人は世界でもトップレベルの技術を持っているんですが、それだけ難しい大会だということです。

次回大会は?国内予選は?

本来であれば2021年ワールドファイナル。その日本代表を決める国内予選が2020年秋に行われるはずでした。ですが新型コロナの影響で延期となり、次回の見通しは立っていません。

ちなみに国内予選のテーマは「#TMRW_TASTES_LOOKS_FEELS_LIKE」(「#TMRW(明日)」のテイスト、ビジュアル、感覚)

そのテーマの背景をオフィシャルページより引用すると

私たちの社会情勢はきつく縛られており、多くの人々はまるで道を失ったかのように感じています。言うならば、1つの時代の終わりです。
しかし、それと同時に未来を信じ、誰もが良いと思える場所に変えたいと新世代も立ち上がっています。
変化を起こすのに必要なものは、科学、技術、創造性、起業家精神です。
チョコレートは「楽観主義」と「人生を祝う」ことの縮図でもあり、チョコレートは完璧なまでに新たな楽観主義を手伝っています。
そのため、今回のテーマは遠い未来ではなく「明日」なのです。
新世代を担うペストリーショコラトリーのシェフたちは、「明日の喜び」をどのように表現するのでしょうか。
ルールに則り、カカオが持つ健康的という利点を駆使して各課題に挑んでもらいます。
視覚的言語であるデザインは作品のストーリーを審査員に評価してもらう為に最も重要になってくるといえるでしょう。

TASTES=サイエンス+クラフトマンシップ
栄養科学と職人技を組み合わせて、斬新なセンスを発揮させ、健康的でバランスの良い21世紀にふさわしい作品を作ります。

LOOKS=デザイン
これからの食品は、まず視覚的に魅力がなければなりません。
新鮮かつ多様な体験をデザインで表現します。

FEELS=倫理・エコロジー・サステナビリティ=テクスチャー
これからのチョコレートは人を幸せにするだけでなく、消費者に社会的責任を感じてもらえるものでなければなりません。
テクノロジーによって食物連鎖全体がより明確になり、これからに対する倫理が問われています。また、テクノロジーには、感覚的な側面も持ち合わせています。
刺激的でこれまでにない質感をチョコレート作品にもたらし、感覚に訴える体験を生み出します。

オフィシャルページより

非常に難解ですね。何か哲学的なものを求められているような気がします。要する所、自分たちがこの世界をどのように良くしていきたいのかが問われているような、そんな感じです。

折しも新型コロナの影響で世界が混沌に包まれている中、このテーマはより深い意味を持ってきますね。

国内予選の内容は?

今年の大会は延期となりましたが、本来であれば大会に参加する5大陸(北米、南米、ヨーロッパ、アフリカ、アジア)の20か国で国内予選が行われます。
国内予選参加者への課題は次の通りです。

課題① #YOU(あなた)
作品全体のコンセプトとテーマの解釈を共有するムードボード(世界観)を作成。
アイデアがより詳しく伝わるように、出場者の作品のインスピレーションの源がどこから湧いてきたのか、
それが自身の「#TMRW(明日)」のビジョンにどのように反映しているかを画像やテキストを使用して説明。

課題② #DESIGN(デザイン)
大会テーマである「#TMRW」の文字をかたどった木製のオブジェをベースに立体的なチョコレートアート作品を作成。
※作品に使用できるチョコレートは最大5㎏まで

課題③ #TASTE(テイスト)
3つの必須食材(チョコレート、フルーツ、現地で調達したローカル食材)を使用し、
フレッシュなチョコレートペイストリーを作成。
※冷凍庫や液体窒素などペイストリーを0℃以下にする道具は使用不可

課題④ #SNACK(スナック)
使用材料はすべて植物由来、クリーンラベルのチョコレートスナックを作成。
移動しながら食べられる、都会の健康志向レストランで提供されるのを想定。
添加物は最小限に抑え、ヘルシーで栄養バランスが良く、美味しいもの。消費者が目を引くビジュアル。

課題⑤ #BONBON(ボンボン)
「#TMRW」のテーマに沿ったフレッシュな型抜きボンボンを作成。
作成から数日以内に食べきることを前提に、食品添加物は不使用で天然素材をベースにしたものに限る。
機能的な役割を果たす(健康にいい、味を引き立てるなど)現地のローカル素材を1つ使用し、
2種類以上の異なる食感で構成されていること。

すべての課題を通して、ワールドチョコレートマスターズとしてはショコラティエとパティシエが過去を再考しデザイン、サイエンス、テクノロジーを駆使して輝かしい未来を創造することを求められます。
審査員が期待していることは、デザイナーのような発想で斬新で新しいものです。

オフィシャルページより

まとめ

ワールドチョコレートマスターズ
・ショコラティエ世界一を決める大会

・日本人は過去7度出場して優勝が2回

・技術だけでなく哲学的思考も求められる難解な大会

最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいチョコレート日和を。
Bon Chocolat!

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ABOUTこの記事をかいた人

1984年生まれの大阪在住。 社会人として12年の間、洋菓子業界を様々な視点から経験。現在はフリーランスのショコラティエとしてメディア運営や企業コンサルタントを中心に活動中。