こんにちわ。こちらは『チョコレートをエンターテイメントにする』をテーマに、×Chocolatのakiが綴るブログです。チョコレートの面白さについて、様々な角度から発信しています。
さて、今回はチョコレート作りに最も重要な意味を持つ発酵についてお話ししていこうと思います。
いえいえ、めっちゃ重要です!チョコレートにとって発酵のプロセスは、完成後の風味を決めるものです。この良し悪しによって、チョコレートの品質が大きく変わってくるので、各メーカーが注力しているポイントでもあります。
奥深すぎる発酵の世界ですが、できる限り分かりやすく伝えていきますね。では早速進めていきましょう!
発酵の不思議、酵母と菌の働き
無酸素での発酵
収穫されたカカオを割り、中のカカオ豆をパルプごと取り出して木箱に移します。バナナの葉で蓋をし、空気が遮断された状態で1〜2日間放置します。
この間に起こっている変化はこんな感じです。
そうですね。そのパルプに含まれている糖分が、バナナの葉や木箱に付着している酵母や乳酸菌によってエタノールに変化します。酵母や乳酸菌は酸素のない状態で活発に活動します。このプロセスのことを「アルコール発酵」と言います。このアルコール発酵のおかげで、カカオ豆の周りをしっかりと覆っていたパルプは分解され流れ落ちます。
有酸素での発酵
パルプがなくなったおかげて、カカオ豆の周りにはスペースが空き、空気が取り込まれるようになります。またこの辺りから攪拌し始めるので、酸素が送り込まれることになります。この発酵を5日ほど行います。
この間に起こっている変化はこんな感じです。
先ほどアルコール発酵でできたエタノールが、今度は酸素がある状態で活発になる酢酸菌の働きにより、酢酸へと変化します。このプロセスのことを「酢酸発酵」と言います。
アルコール発酵でできたエタノールと、酢酸発酵でできた酢酸は少しづつカカオ豆の中へとしみ込んでいきます。
また酢酸発酵には大きな発熱を伴い、50℃にまで達します。その結果カカオ豆は死滅し、発芽しなくなります。そのプロセスで、カカオ豆の内部にどのような変化が起こっているのでしょうか。
熱によってカカオ豆の細胞内に取り込まれていたデンプンやタンパク質が、細胞外に放出されます。このデンプンやタンパク質は、様々な分解酵素のおかげで「糖類」と「アミノ酸」にそれぞれ分解されます。
最終的にカカオ豆の内部はこのような状態になります。この糖とアミノ酸は、この後焙煎される時にチョコレートの香味を生じる重要な成分となります。
発酵によるその他の変化
風味以外にも、発酵がカカオ豆に及ぼす変化は以下のようなものがあります。
生のカカオ豆 | 発酵させたカカオ豆 | |
外形 | 扁平 | 丸く膨らんでいる |
外皮の状態 | 胚乳に強く付着していてはがれにくい | パリパリしていて、胚乳からはがれやすい |
pH | 6.0〜6.8 | 4.5〜5.6 |
硬さ | 非常に硬く砕きにくい | ひび割れがたくさんありもろく砕きやすい |
色 | 淡白色 | 褐色 |
味 | 苦く、刺激性がある | 刺激性はない |
発酵食品との相性
世の中には発酵食品といわれるものがたくさんあると思います。ワイン、チーズ、日本酒、味噌、醤油、甘酒、納豆などが代表的なものですね。
今世界ではそれらの発酵食品とチョコレートをペアリングする流れが加速しています。ワインに合わせるチョコレートを産地別で選んだり、味噌や醤油のボンボンショコラが作られたり。
この辺りについては『素材×Chocolat』で別途お伝えしようかなと思ってますのでお楽しみに!
まとめ
・発酵により風味以外にも様々な変化がある
・発酵食品とチョコレートをペアリングする流れがある
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいチョコレート日和を。
Bon Chocolat!