こんにちわ。こちらは『チョコレートをエンターテイメントにする』をテーマに、×Chocolatのakiが綴るブログです。チョコレートの面白さについて、様々な角度から発信しています。
さて、今回はこれまでとは少し違った角度の企画になります。タイトルを見て、「何?チョコレートと小麦?関係あるの?」と思われた方、いるかもしれませんね。
以前少し書きましたが、僕は普通の小麦が合いません。食べると1週間後に肌が荒れたり、頭痛がしたりします。多分グルテンに反応してます。詳しくはこの記事の「自分が食べたいかどうか」の部分で書いてますので、興味のある方は読んでみて下さい。
幸いチョコレートは小麦を多用することがないので、今のところは大丈夫です。ですが、小麦を使えたら作れるものの幅が一気に広がってきます。お菓子作りの基本材料の一つですからね。
スペルト小麦は古代小麦と言われていて、グルテンによる反応が少ないと言われています。市販されているものもありますが、一度自分の手で育ててみようと思ったのがこの企画の始まりです。
今のアトリエも自分で作りましたし、結局のところDIYが好きなんですね。
今回は、そもそもスペルト小麦とは何ぞや、というところを解説しようと思います!
それでは早速、進めていきましょう!
スペルト小麦とは?
由来
先ほども少し言いましたが、スペルト小麦は現在世界で栽培されている普通小麦の原種にあたる「古代小麦」です。
最近の研究では実に9,000年以上も前(!)からヨーロッパや中東で栽培されていたことが分かりました。地球上で最も古い栽培穀物の一つとも言われています。
特徴
普通小麦は収穫量を上げたり、病害虫に強くしたり、生産を安定させるために様々な品種改良がされてきました。それに対してスペルト小麦は人工的な品種改良がなされていない原種であり、化学肥料や農薬を必要とせずとも自分を守ることのできる、非常に強い植物となっています。
小麦の殻は非常に硬く、このおかげで病気や害虫に犯されにくくなっています。つまり、農薬や化学肥料を使う必要がないということ。もちろん遺伝子組み換えによる様々な問題とも無関係。
収穫後は鮮度が落ちにくく、保存性にも優れています。極めてナチュラルに育てることができるので、近年の健康意識の高まりとともに注目されている素材でもあります。
品種
古代小麦はイタリア語で「殻付き」という意味の「ファッロ」と呼ばれています。スペルト小麦はファッロの中の一品種で、粒の大きい順にスペルト、エンマー、アインコーンと呼ばれています。生産量も粒の大きさに比例して多くなります。
栄養
普通小麦の重要な栄養素が主に外皮部分に集まっているのに対して、スペルト小麦は内部に栄養があります。なので製粉で表面を除去したとしても、栄養が残るという特徴があります。
タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などはもちろん、硫黄、カリウム、ビタミンB3、B6、βカロチンの含有率が高いことがデータとして確認されています。
グルテン
グルテンは、小麦に含まれるタンパク質の一種です。水と合わせて練ると粘弾性が出るという特性を利用して、様々な食品に利用されています。
スポンジケーキやパンがフワフワに膨らむのも、麺が細く伸ばせるのも、このグルテンのおかげというわけです。
ところでこのグルテン、実は2種類の物質からできています。それが「グルテニン」と「グリアジン」です。
それぞれ特徴があって、グルテニンは固いゴムのような性質、グリアジンはネバネバとしたペーストのような性質です。この二つが合わさることで、伸びのある生地が出来るということです。
グリアジンが増えると加工品が作りやすいということで、品種改良とともにこのグリアジンの量は増えていきました。
ところがこのネバネバのグリアジン、近年の健康意識の高まりとともに避けられつつあります。グリアジンが原因で引き起こされる障害があるんですね。
具体的には、血糖値を急激に上げ、食欲を刺激したり、腸内の細胞を破壊したりします。自己免疫疾患であるセリアック病も、グリアジンが原因と言われています。
スペルト小麦は品種改良されておらず、このグリアジンの含有量が少なくなっています。さらに消化しやすい形となっているので、反応しやすい人でも食べられる可能性があるんですね。
スペルト小麦が広まらない訳
ここまで良い部分ばかりを書いてきましたが、スペルト小麦が広まっていないのにも理由があります。
まず一つ目は、収穫量が少ないこと。一般的には、普通小麦の半分以下と言われています。同じ面積で栽培しても、収穫できるのが半分以下なら、農家さんにとっては普通小麦を栽培したくなる気持ちも分かります。
二つ目は、脱穀作業が大変なこと。スペルト小麦を覆う皮は非常に硬いので、脱穀作業が大変です。
そして三つ目は、グルテンが少ないのでフワフワのケーキやパンが作りにくいこと。特に日本人は、フワフワで口どけの良いものを好む傾向が強いですからね。グルテンが多い品種に取って代わられたことも納得です。
収穫量が少ないのに手間がかかるから値段も高い、そしてフワフワじゃないので一般向けじゃないんですね。これがスペルト小麦が広まっていない訳です。
まとめ
・グルテンが少なく、反応しやすい人でも食べられる可能性がある
・栽培や製造の観点から広まりづらい
値段は高いですが、食べる側にとってはメリットの多いスペルト小麦。もっと広まって欲しいですね。
種も購入して、これを栽培してくれる農家さんも見つかったので、次回以降は栽培レポートもしていきますね。お楽しみに!
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいチョコレート日和を。
Bon Chocolat!
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