僕の目指している世界

こんにちわ。こちらは『チョコレートをエンターテイメントにする』をテーマに、×Chocolatのakiが綴るブログです。チョコレートの面白さについて、様々な角度から発信しています。

さて、今回はひとりごとです。特に有益な情報は載せていませんので、興味のない方は読み飛ばしてください。

僕は今現在、独立してフリーランスのショコラティエとして活動しています。ショコラティエのフリーランスなんて今まで無かったので、なかなか理解されにくいです。店を持つのが普通ですからね。

ちょうど100記事目となる今回は、独立した想いの根幹となる部分を記そうと思いました。誰かへのメッセージという意味だけじゃなくて、この先進んでいく自分への道標として。

少し長文になりますが、しばしお付き合いいただけると幸いです。

憧れていた世界

子供の頃から好奇心は旺盛で、母親が毎年作ってくれる誕生日ケーキが出来ていく様子を隣で見ているのが楽しくて。いつからか自然と自分でも作るようになっていきました。

卵、砂糖、小麦粉からこんなに美味しいお菓子ができるのも楽しかったし、何よりそれで喜んでくれる人がいるのが嬉しかった。

お菓子教室に連れて行ってもらったり、自分でレシピを集めて作っては誰かに持って行っての繰り返しで、どんどんこの世界にのめり込んでいきました。

こんなに楽しいんだから、将来は絶対パティシエになると決めていました。

この業界に入って気付いた違和感

大学在学中からパティシエのアルバイトを始めて、卒業後も個人店で修行し、最終的には大手ブランドで勤めていました。

在学中から数えると実に15年間、この業界を様々な角度から見てきました。ですが働くうちに、一種の違和感を覚えるようになって。初めは当たり前だと思っていたことが、そうじゃないと気付き始めていました。

その正体を掴むまでに長い時間がかかってしまいましたが、今ようやく言葉にしてまとめられるようになりました。ここからはその違和感について記していこうと思います。

憧れの世界の裏側

大学を卒業してから個人店で修行を始めました。ずっと憧れていたパティシエの世界に入った訳です。

皆さんの中にはパティシエの仕事は朝が早くて夜が遅い、体力も必要でクリスマスには帰れない。こんなイメージがあるかと思います。

僕がいたお店も、まさしくその通りでした。

朝は4時から働いて開店までに全てのケーキを仕上げる。終われば仕込みが始まります。昼はコンビニ飯をかきこんで、仕事を覚えるために休憩を削る。夕方に仕込みが終わってひと段落したら、焼き菓子の包装。それから閉店までケーキの追加や細々とした仕事をして、閉店後は練習を12時まで。

これが普段の生活。これを週1日の休みで回していました。

クリスマスになると本当に帰れません。夜中まで仕事が続きます。というか、店から100mの所に住んでいたので帰ろうと思えば帰れたんですが、帰ったら100%起きられないので店の休憩室で寝る。

材料も重いので、体力が要ります。小麦粉や砂糖の袋なんか、25キロくらいありますからね。おかげで筋肉つきました。

これだけ働いて手取りが12万程。時給計算したら200円くらいでした。泣ける。

そして理不尽な理由で怒られることもしばしば。本などで勉強しても、店独自の仕込み方があるので意味が無く。質問しても『つべこべ言わずに覚えろ』と言われる。入社したばかりなので何も言い返せず、ストレスを溜め込んでいました。

これだけ身体的、経済的、精神的にきつい仕事なので、離脱率も半端ないです。3年で店に残っている人が1割というのも、大袈裟じゃない。

そしてこの傾向は個人店に強いですね。ホテルとか大企業になるほど待遇は良いです。その代わり技術は身につきにくいと思います。機械化されていたり、出来合いを仕入れるとかになっているので。練習のために職場に残ることも禁止されていたり。

小学生の、なりたい職業ランキングをご存知でしょうか。パティシエっていつも女子に人気の職業上位だったんですが、近年ランキングが下がっています。今では情報を容易く手に入れることができるので、親御さん経由で過酷さが伝わるんでしょうね。

近年の少子高齢化も相まって、業界では深刻な人手不足になっています。後継者不在で店を畳む方も多い。人手不足だからさらに労働環境が悪化したり、機械化でつまらなくなって辞めたり。負のスパイラルです。

もちろん僕が修行を始めたのが12年前の話なので、今では幾分改善されていますし、そんな酷い店ばかりではないということも断りを入れておきます。勉強になったのも確かだし、大事な出会いもありました。

ただ、誰かを喜ばせるために誰かが犠牲になるのは違うと思うし、それでこの世界を目指す人が居なくなるのは寂しいなと思います。

あふれるモノと、伝わらないこだわり

これも理解しやすいかなと思います。巷には美味しいお店がたくさんあって、デパ地下に行けばそれこそ迷うばかりで。

おまけに最近ではコンビニも台頭してますね。しかもレベルが年々上がってきている。テレビでも、一流パティシエがコンビニスイーツを評価する企画なんかもあったり。

その一方で、商品の寿命は短くなっています。

これは日本人の特性もあるかもしれませんが、飽きやすいんでしょうね。常に新商品や新ブランドを求めている感じがあります。そして満足したら見向きもしない。

そんなだから、こだわったものを作っても伝わりにくい。ただでさえモノや情報が氾濫しているんだから、そりゃ伝わりにくいですよね。「〇〇産のフルーツ使用!」ってPOPを作ったところで、その人には届かない。

あと、組織が大きくなればなるほどこだわりも伝わりにくい。伝言ゲームみたいに、初めに意図したものが、お客さんの手に届く頃には全く違うものになっている。作り手の想いをしっかりと伝えるというのは、難しい時代だなと思います。

そして売れるのは過剰なもの。インスタの影響もあってか、見た目にインパクトのあるスイーツがバズります。かき氷なんかは分かりやすいですね。あとは丸ごと桃のケーキとか。

でもそれって、本質じゃないなと思います。というか、モノにしか価値を見出せないからそうなるんだと思います。もっと面白い部分はたくさんあるのに。もったいない。

この業界が古いなと思う部分は、いつまでもモノだけを売る商売から脱却できていないところ。コト訴求なんて言われて久しいけど、出来てるところなんてほぼ無い。

音楽に例えると、いつまでもタワレコでCDばっかり売ってるような。試聴もできないので、売れるのはジャケットが派手なものか有名なアーティストのみという状況。

でもやり方によってはお菓子の世界でもライブをすることはできるし、モノに頼らなくても人を楽しませることはできるはず。

安易にインスタ映えに走るのは違うと思うし、もう少し本質的な楽しさを追求できる世の中であって欲しいなと思います。

使いたいけど使えないジレンマ

お菓子を作ったことのある方なら分かるかと思いますが、材料って高いですよね。

僕も今材料を買い集めてるところですが、本当高い。チョコとか1kgで5,000円するものもあるし、バターやナッツ、バニラも高いですね。

そして機械も高いんです。ケーキ屋一つ作るのに、トータルで2,000万円くらい必要と言われています。それを借入で賄ったり。

一般的にケーキの原価は、売価の30%くらいとなっています。つまり500円のケーキがあったとして原価は150円くらい。

残りの350円から人件費や家賃、水道光熱費や税金、ローンの返済を払ったりすると、お店の利益はほんの少ししか残りません。

その状況で、材料費と人件費は年々上がり続けている。でも商品の値段はなかなか上げられないというジレンマがあります。他社やお客さんの目も気になる。

東京などの都心部ならまだしも、地方でケーキ一つ1,000円で売ったら、売れませんよね。

するとどうなるか、材料のクオリティにしわ寄せがきます。バターがマーガリンに変わったり、チョコレートのランクを落としたり。

本当は使いたい良い材料があるんだけど、コストが見合わないから使わない。こういう状況が多々あります。

IT系の業種とは違って、ケーキはロスが出ますしね。コスト問題はいつだって頭の痛い話です。大手になればなるほど、コストにはシビアになってきます。

僕は使いたいものは値段が高くても使いたいという思考です。ですがこの業界のルールで闘う限り、それは叶いません。もったいない話です。

自分が食べたいかどうか

最近ランニングする人、増えましたね。僕自身もランニングを始めてもう5年以上になります。それだけ健康に気を遣っている人が増えたということでしょう。

ところで、ケーキって健康に良いでしょうか?言うまでもなくNOですね。僕が思うに、食べ物って栄養的側面心理的側面があると思っていて。

普段の食事って、基本的には栄養を摂るために食べますね。炭水化物と脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、バランスの良い食事が大事です。

それに対してケーキは幸せな気持ちに浸りたいから食べる側面が大きい。楽しい時はより楽しく、悲しいことも忘れられるような力が甘いものにはあると思います。

そもそも性質が違うものなので、近年の健康ブームで甘いものを食べる人が全くいなくなるとは思いません。

でも確実に、身体に負担のかからないものは求められていくと思います。

ところで以前少し書きましたが、僕は普通の小麦が苦手です。食べると1週間後に肌が荒れたり、頭痛が続いたりします。多分グルテンに反応してます。

気付いたのは、製造から販売に変わったのをきっかけに体調が良くなって。肌荒れが無くなったり、イライラすることも減りました。色々原因を探った結果、小麦を食べる量が減ったことに気付きました。

それから何度も自分の体で実験して、小麦を食べた1週間後に体調が悪くなるというサイクルを発見しました。

なので普通の小麦を使ったケーキやクッキーは食べないようにしています。調子が悪くなるのが分かっているので。それだけ自分の健康に対して気を遣っています。

そして今試しているのがスペルト小麦というもの。小麦の古代種にあたり、グルテンの影響が出にくいようです。値段は普通の小麦の10倍しますが。普通のお店じゃ使えないですね。

僕は自分のポリシーとして、自分が食べられないものは作らないようにしています。なので普通のケーキとかクッキーは作りません。

チョコレートに特化したのはそういう理由もあります。チョコならほぼ小麦使わなくて済むので。今後スペルト小麦が上手くいけば、レパートリーを増やそうかなと思っています。

一方でこの業界を見ていると、健康情報に無頓着な人が多い。小麦グルテンや牛乳のカゼイン、ヴィーガンや大豆ミートなんて言葉も知らない人が多い。

もしくは知っていても対応できない。先ほども言ったように、スペルト小麦の値段は普通小麦の10倍します。これを使って商品として出すのはかなり勇気がいる。

自分が食べないものを作ったり、売ったりすることは違和感があります。ちゃんと自信を持っておすすめできるものを作りたいですね。

新しい世界を構築する

なんだか厳しい話ばかり続いてしまいましたが、それでも間違いなく言えることは「お菓子作りは楽しい」ということ。そしてお菓子には人を楽しませる力がある。でも、今の楽しませ方が全てなのかというと、そうじゃない。

なので、これまでとは違うアプローチで新しい世界を構築していきたいなと思いました

先ほどの違和感を解消するために最初は、ライブスタイルのショコラトリーを一人で始めようと考えていました。

チョコレートであれば自分も食べられるし、トップショコラティエの下で働くこともできた。何より自分自身がその奥深さに興味を惹かれていました。

そして商品だけじゃなく、作る過程も含めて売り物にしようと。結局作るんだから、それも含めて楽しんでもらえれば売れるなと思いました。その分値段は上乗せして。一人であれば、人やコストの問題もクリアできる。想いも伝えやすい。

そう思っていたのが今年の1月。実際に物件を探して、目星も付けていました。その時に参考にしていたのが、東京の未来食堂というお店。

本もたくさん出ているので、興味のある方は参考にしてみてください。とにかく、それまでの常識にとらわれない発想で飲食店を運営されています。一人でするにはこのスタイルがベストだと。

ところがその後、大きな出来事が起こります。そう、新型コロナです。

新型コロナに関しては皆さんもご存知の通りなので説明は省きますが、この出来事でそれまで考えていたスタイルを大幅に見直すことになりました。そもそも人が来れないので店を持つのは危険だなと。今後もどうなるか分からない。

なので、店舗を持たずにフリーランスのショコラティエとして独立しました。作る過程ならYouTubeで楽しんでもらえるし、ブログで色んな情報も発信できる。

何より全世界にアプローチできるのは魅力的ですね。店を持たないのでコストも大幅削減できるし、フリーだから労働時間も自由です。

唯一難点としては、実際に食べられないこと。当たり前ですが。でも作るところを見るだけでも楽しいし、見た人が作ることができたらそれもクリアです。

始めてみて分かったこと

というわけで、このスタイルになりました。今の所ブログ、YouTube、インスタ、フェイスブックという4つの媒体を運営しています。

やってみて分かったことは、みんな座学より実技が好きということ。チョコの作り方とかカカオとは、みたいな記事もブログで書いてますが、人気記事はDIY(笑)まぁ、そりゃそうか。

そして、人にシェアしてもらうとアクセスが大幅に伸びること。ブログって始めて数ヶ月でやっと月1000PVを超えるらしいんですが、2ヶ月目で書いたle fleuveの上垣さんの記事をシェアしていただいていきなり月1300PVを超えました。

それ以降も友人がシェアしてくれたりで、月1000PVは安定的に超えています。ありがたいですね。

ブログに関してはもちろん、誰かのために興味深い記事を書くことを心がけています。と同時に、自分のためにもなっていることに気づかされました。思考の整理ですね。

人間の脳って、インプットしただけじゃ記憶として定着しにくくて、アウトプットしないとあまり意味がない。書くことで、自分の知識として定着しやすくなるし、思考も整理できる。自分のためにもブログは書いて良かったなと思います。

Webライティングスキルも上達しました。もちろんプロではないので全然ですが、いい文章と言われることが多くなりました。SEOの知識も付きましたし、ほんとブログは良いですね。

そしてインスタは反応が良いということ。やってる人が多いからかな。DIYしか上げてないけど、フォロワーも徐々に伸びてます。

YouTubeは難しいですね。登録者が思ったほど増えません。そもそもGoogleアカウントを持っている人が少ないのか?再生数は始めたての割には多い方らしいですが。

Facebookは長いこと放置していたにも関わらず、たくさんの方から応援メッセージを頂きました。ありがとう。

嬉しかったのは、ブログを毎日見てくれる人がいること。コメントをくれる人がいること。シェアしてくれる人がいること。そしてSNS経由で昔の友人がメッセージをくれたこと

学生時代もケーキを作っては持って行ってたので、懐かしい気持ちになりました。ずっと続けてて良かった。

大変なことは、とにかく時間がかかること。ブログなら読みやすい文章構成や画像、リンクを貼ったり、全体を回遊しやすいデザインにする。検索で上位に来るための戦略も必要です。

YouTubeも編集が大変ですね。たかだか10分以下の動画に12時間かかったり。この辺りは自分のスキル不足もありますが。毎日ブログを更新しながらアトリエDIYを進め、さらにYouTube、各種SNSを更新するのは、かなりキツかったです。

大変ですが、まだまだ少ないながらも楽しみにしてくれている人のために発信は続けていきたいなと思います。

これからのこと

お気づきの方もいるかもしれませんが、ブログの更新頻度を下げました。6月下旬から毎日更新して、これで100記事目となります。

別に疲れたとか、サボっているわけではなくて、ようやく座学パートが終わったということです。ここからは皆さんお待ちかね、実技の時間です。

アトリエはもうできたので、今は材料や器具を集めにひたすら街を歩いてます。早くチョコの情報も発信していきたい。

それと、ブログの過去記事をリライトしていきます。画像ももっときれいなものに差し替えたいし、リンクや文章も修正したい。

100記事書いたことで構成力も上がったので、同じ内容でもさらに読みやすい内容にできるかなと思ってます。さらに良いブログにしますので、お楽しみに。

というわけで、これからが本番です。バレンタインに向けて、どれだけ面白そうなコンテンツを作り出せるか。そしてリアルに楽しませることができるか。まだまだ気は抜けません。

今最優先で考えるべきは、とにかくフォロワーを増やすこと。YouTube、インスタ、Facebookで年内1000人、バレンタインで1万人は超えたい。ブログも2月で1万PV超えたいですね。

おわりに

とまぁ色々書いてしまいましたが、想いの根幹はやはりエンターテイメントだということ。そのために新しい世界を構築して、どれだけ人を楽しませることができるか。

そして新しい世界を楽しいと感じてくれる人が増えれば嬉しいし、その輪が広がれば世界は少しだけ良くなるんじゃないかと思っています。それだけが僕の今の原動力。

これが正しいのかどうかは未だに分かりませんし、今までにない怖さもある。それでも、自分の人生をしっかり歩いている実感はあります。上手くいかなければ、修正すればいいだけのこと。

これからもっと面白い世界を作っていきますので、見守っていて下さいね。

だいぶ長くなりました。自分史上最長です。今日はこの辺で。

最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、よいチョコレート日和を。
Bon Chocolat!

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2 件のコメント

  • 学さんのスレッド経由でブログ拝見しました~
    さすが100記事を書いているだけあって読みやすいし全体が綺麗にまとまってますよね
    勉強になります
    僕はブログを初めて2ヶ月の新参者です
    まだあまり読まれませんがコツコツ続けていきたいと思います
    昔の夢はパティシエになることでしたw

    • ハイパービギナーマンさん
      コメントありがとうございます!
      マナブさん繋がり嬉しいです
      ブログは僕自身も始めたばかりですが、何かしら参考になれば幸いです。
      パティシエを目指していた方、これから目指す方にも楽しんでいただけるようなブログにしていきますね。お互いに頑張りましょう!

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    ABOUTこの記事をかいた人

    1984年生まれの大阪在住。 社会人として12年の間、洋菓子業界を様々な視点から経験。現在はフリーランスのショコラティエとしてメディア運営や企業コンサルタントを中心に活動中。