みりんのオランジェット

こんにちわ、×Chocolat(カケルショコラ)のakiです。今日は初めて販売する商品、『みりんのオランジェット』についてお話ししようかなと思います。

きっかけ

販売しようと思ったきっかけはインスタグラムでした。2020年の8月からいくつか投稿を始めて、初めてオランジェットを投稿したのはその年の12月のこと。
まだフォロワーさんも200人くらいだった頃に、1600ものいいね!を頂いて。驚きとともに、みなさんのオランジェット愛を知ることになりました。

それからも、写真をイラストにしてくれる人が居たり、額に入れて家に飾りたいなんていうツワモノや、何故売っていないのか恨み言を言われたり(笑)とまぁ、自分にとっても思い出深いお菓子となっていきました。

なので、最初に販売する商品は絶対オランジェット!と決めていました。

ただ、世の中にはオランジェットというお菓子はありふれています。オレンジのシロップ漬けにチョコレートをかけただけの、極めてシンプルかつ王道のチョコレート菓子。専門店はもちろん、スーパーやコンビニでもその姿を目にすることがあります。

そんな中で、自分が表現するオランジェットはどのようなものか。ずっと模索していました。

手間ひまをかけて「育てる」

動画を見てもらえれば分かるかと思うんですが、オランジェットってものすごく時間と手間がかかるお菓子なんです。初めて作った時は7日間。今に至っては10日間かけています。

最初は何の変哲もないオレンジの輪切りが、次第に透き通っていき最後にはステンドグラスのように輝く。その過程は作るというより「育てる」と言った方がしっくりくるかもしれません。

材料について

本みりん

本みりんを使っていると聞いて、驚かれる方も多いかもしれません。普通お菓子には使いませんからね。

一般的にオランジェットは、水とグラニュー糖で作ったシロップに漬けて作ります。毎日砂糖を足しては溶かし、少しずつ糖度を上げていきます。僕も初めはそうやって作っていました。
ところが、作ってみて思いました。甘いなと。

というかそういうお菓子なので甘いのは当然なんですが、何というかもう少しスッキリした甘さにできないものかと思い始めました。

そこから、さまざまな甘味料を試す日々。初めはきび砂糖や黒糖から。そして三温糖、てんさい糖やエリスリトールまで。ですがどれも納得がいかず。色が濃すぎたり、結晶化で固くなってしまったり、風味が独特でオレンジの良さが消えてしまったり。

どうしようか悩んでいた時にふと目に留まったのが、自身が挑んでいたコンクールのレシピでした。

そのコンクールは、ワールドチョコレートマスターズというもの。3年に1回、フランスのパリで行われるチョコレートの大会で、各国の予選を勝ち抜いた代表選手が世界一のショコラティエを目指して戦う、最高峰の大会です。

世界につながる大会なので、日本独自のものを使いたいなという思いはありました。そして自分が作ったレシピで、お砂糖を減らしてみりんを使っていたんですね。海外の方にも興味を持ってもらえるかなと思って。

灯台下暗しとはまさにこの事。

それからは色んなみりんで漬け込む日々。そもそもみりんでオランジェットなんか作ったことないですし、そんなレシピも存在しません。分量も、作り方も一から手探りでのスタートです。

さらにみりんと一口にいっても種類は様々。蔵によっても風味が違いますし、色んな地方のみりんを試してみました。最終的にはみりんの本場、愛知県の三河地方のものを使うことに。そして作り方もお砂糖のように足して糖度を上げることができないので、煮詰めて糖度を上げることに。

みりんを使ったことによって思わぬ効果も。独特の照りや、深い色。そして奥行きのある優しい甘さ。そして同じ発酵食品としてのチョコレートとのマリアージュ。こうして、全く新しいオランジェットが出来上がりました。

オレンジ

オレンジは時期によりスペイン産バレンシア種かオーストラリア産ネーブル種を使います。バレンシア種は身がしっかりとしていて煮崩れしにくく、オランジェットにするには最適な品種です。ネーブル種は実が柔らかく、どちらかというと生食向きの品種です。

自然のものなので、オレンジの状態も様々。煮具合、糖度、乾かし具合など、その時々によって最適な状態を見極めながら手作りしています。

チョコレート

チョコレートについてはフランスのカカオバリー社のメキシックという、カカオ分66%のものを使っています。その名の通り、メキシコで採れたカカオ豆を使ったクーベルチュールで、フルーティーな中にもしっかりしたカカオ感もあり、とてもバランスの良いビターチョコです。

色々と試した結果、みりんで漬けたオレンジにはこのメキシックが最適だと感じました。これを丁寧にテンパリングし、オレンジの半分にコーティング。仕上げには金箔をあしらっています。

保存方法とお召し上がり方

保存については25℃以下の直射日光を避けた常温でお願いします。冷蔵庫で長期間保管すると固くなる可能性がありますので、ワインセラーなどもおすすめです。
チョコレートのかかっているところ、無いところ。それぞれの違った表情をお楽しみいただけます。
コーヒーやワイン、ウイスキーなどと合わせると、また新しいマリアージュがお楽しみいただけます。

販売について

販売については不定期となります。少しずつしか作れませんので、売り切れ次第終了となります。また製作に時間がかかるため、月に1〜2回程度の販売です。
情報はインスタグラムにてお知らせしていますので、そちらをチェックして下さい。

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ABOUTこの記事をかいた人

1984年生まれの大阪在住。 社会人として12年の間、洋菓子業界を様々な視点から経験。現在はフリーランスのショコラティエとしてメディア運営や企業コンサルタントを中心に活動中。